結末

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あれから二人は全てを自白した。 弟を殺したのは田中姉弟の弟、優だった。 そして最近起きていた事件の犯人も全て優だった。実行犯は全て優で、花子は裏で全て操っていたようだ。 弟殺しの動機はやはり嫉妬からだったらしい。 容姿が同じで全てが完璧の一と比べられるのが屈辱だったようで、それを姉の花子に相談し花子が犯行を計画したとの事だ。 確かに容姿が同じであの一と比べられるのはだいぶ心が痛いだろう。実際俺も親に一と比べられて何度一を恨んだことか。 そして最近起きた事件は全て勘違いから始まった。 弟の事件があってから俺は荒木二郎という人間をやめた。容姿も出来るだけ一に近づけようと長かった髪を切ったり、二重にする為に美容整形したり日サロに行ったり一の形見の眼鏡をかけたりした。容姿ではなく内面も一に近づこうと勉強に勤しんだ。 全ては親の為だった。母さんは一を溺愛していた。一方で俺には目もくれなかった。 一を失って母さんは全てを失ってしまったのだ。俺は出来損ないの二郎を捨て母さんが溺愛していた一になったのだ。そして今でも母さんは俺の事を一だと思っている。 そう。こうでもしないと母さんは俺に目を向けてくれないのだ。 しかし、それと同時に荒木二郎は死んでしまった。
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