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そしてこの事が事件の始まりになってしまった。
一の姿をした俺を見て、田中姉弟はまだ一が生きていると勘違いしてしまったのだ。
あの時殺した筈の一が普通に生きている。二人は驚いただろう。
そして二人はこう考えた。一を殺すのではなく一の大事な人たちを殺してやろうと。普通の人間ならこんな考えは思いつかない。しかし二人にはそう思えるくらいに一が憎かったのだろう。
事件は立て続けに起こり、二人の次の矛先は俺に向けられた。しかし二人はどれだけ探しても荒木二郎を見つけられなかった。
それもそのはず一だと思っていた人間こそが二郎なのだから。
諦めた二人はあろうことかその殺意を吉田さんに向けてしまった。
いつか言っていた俺がアルバイト先のコンビニの前で立ち尽くしていたという目撃情報は田中優ということが判明した。吉田さんの行動を探っていたらしい。
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