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その静寂を破ったのは桜井だった。
「そうだ。荒木、お前も隅に置けないなぁ! あんな綺麗な彼女がいるなんて聞いてないぞ! 」
桜井は笑いながら俺の肩を軽く叩いた。その間にもぞろぞろとクラスメイトが教室へと入ってくる。
肩を叩かれた俺は笑う桜井に対して、笑みを浮かべる事は出来なかった。
「ん? 彼女? 」
俺がそう言うと桜井はポカンとした表情を浮かべた。
「何言ってんだよ! あんな金髪の綺麗なお姉さんが彼女なんて本当、羨ましいわ」
「ちょっと待て! 金髪? 彼女? 何言ってるんだ? 」
俺は桜井の手を肩から退かした。
「何って? 昨日、C駅の前にいただろ? 金髪の彼女と」
俺は嫌な予感がした。
「昨日って、何時くらい? 」
「確か、夜の十時半くらいだと思うけど」
俺の嫌な予感は見事に的中したみたいだ。
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