事件発生

50/60
前へ
/133ページ
次へ
その静寂を破ったのは桜井だった。 「そうだ。荒木、お前も隅に置けないなぁ! あんな綺麗な彼女がいるなんて聞いてないぞ! 」 桜井は笑いながら俺の肩を軽く叩いた。その間にもぞろぞろとクラスメイトが教室へと入ってくる。 肩を叩かれた俺は笑う桜井に対して、笑みを浮かべる事は出来なかった。 「ん? 彼女? 」 俺がそう言うと桜井はポカンとした表情を浮かべた。 「何言ってんだよ! あんな金髪の綺麗なお姉さんが彼女なんて本当、羨ましいわ」 「ちょっと待て! 金髪? 彼女? 何言ってるんだ? 」 俺は桜井の手を肩から退かした。 「何って? 昨日、C駅の前にいただろ? 金髪の彼女と」 俺は嫌な予感がした。 「昨日って、何時くらい? 」 「確か、夜の十時半くらいだと思うけど」 俺の嫌な予感は見事に的中したみたいだ。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加