事件発生

51/60
前へ
/133ページ
次へ
「朝礼を始めるぞ! 席につけ」 いつのまにか担任の先生が教壇に立っていた。その声に導かれる様にクラスメイトが自分の席に座り始める。 それに続いて桜井も俺の前から離れようとしていた。 「桜井…… 後で詳しく聞かしてくれないか? 」 俺は桜井に聞こえるか聞こえないくらいの声量でそう言った。 「ん? いいけど…… お前もあの彼女の事聞かせろよな」 桜井はそう言い残し自分の席へと歩いて行った。 またしても俺の知らない間に俺を見た人物が現れた。 ここまでくると本当に二重人格なのかと疑ってしまう。みんながみんな嘘をついているとは思えないし、人違いだとも思えない。 昨日、俺が最後に時間を見たのは九時だ。それから俺は考え事をして、いつのまにか寝ていた。 そして十時に相地さんが俺の部屋の前から階段を駆け下りる人物を見ている。顔は見ていないと言っていたが俺の部屋の前にいた事から俺である確率は高い。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加