事件発生

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更に、その後十時半頃にC駅の前で金髪の綺麗なお姉さんといた俺を桜井が目撃している。 俺の家からC駅までは歩いて十分くらいだ。時系列で言えば合っている。 しかし問題なのは俺に記憶がない事なのだが、もはや二重人格で間違いないのではと思い始めてきていた。 もちろん二重人格だとは思いたくない自分がいるのも事実だが、ここまで身に覚えがない自分を目撃されたとなると二重人格という事を認めざるを得ない。 それに、二重人格だから何なのだ。誰にも迷惑をかけていないし、俺も自分が二重人格だと思っていれば何も問題はない。 それにもしもう一つの人格が弟ならば、俺は喜んでこの体をさしだす。 俺の体を使って少しでも弟に貢献できるのなら何の問題もない。 そう思うと少し心が晴れた。 「えー、朝礼を始める前にみんなに言わなければいけない事がある」 俺は我に返り教壇に立つ先生を見つめた。その表情はどこか暗く感じる。
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