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しかし、俺はなんて答えていいか分からなかった。桜井は完全に俺だと思っている様だが、俺には記憶がない。
それに気になることがある。もし弟の人格と入れ替わっていたのならばその金髪の彼女は誰なのだろうか。
俺にそんな知り合いはいないし、弟が俺の体を使ってナンパの様な事をしていたとも考えにくい。
「えーっと…… 説明したら長くなるんだけど…… 何て言うのかな…… 」
「なんだよそれ! 白状したらどうだ」
言葉を濁す俺を桜井は完全に勘違いしている様子だ。俺は彼女の事を言うのが恥ずかしくて言葉を濁しいるのではない。
その記憶がなく、二重人格かもしれないと言うのを言いたくないから返事に困っているのだ。
本当にどう言ったらいいのだろうか。
俺が二重人格だなんて誰が信じるのだ。自分でさえ確証もないのに。
「おいおい、俺も言ったんだからお前も…… 」
「おい! 荒木! 」
その時、桜井の言葉を消すくらいの大きな声が教室に響き渡った。
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