77人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
その声が発せられた方を向くと、クラスメイトが教室の入り口の所に立っていた。その表情はどこか不安そうな様子だ。
俺と桜井は目を合わせ、再びそのクラスメイトの方を見る。
「えっと…… どしたの? 」
俺は恐る恐る聞いた。そのクラスメイトとは特に仲も良くないし、あんな大声で呼ばれてはこちらも何て反応して良いのか分からない。
するとクラスメイトは俺と桜井の方へとやってきた。
「荒木…… 校門のところで大野って人が荒木のこと呼んでる。 何かすごい怒ってたぞ…… 何かしたの? 」
「大野? 誰だそれ? 荒木の知り合い? 」
桜井はそう言いながら俺の肩を叩いた。
大野さんが? 怒っている?
まさか…… 俺は嫌な予感がした。もしや人格が変わっている間に俺が何か大野さんに失礼をしたのかもしれない。
普段は温厚な大野さんだが起こると怖いというのはバイト仲間の間でも有名だ。
すぐに行かなければ。
「ありがとう! じゃあ! 」
俺はそう言うと急いで立ち上がり教室の外へと飛び出た。
最初のコメントを投稿しよう!