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「なるほどな…… 亡くなった弟の事を思うばかりに自分の中に弟の人格が宿ってしまったと…… そしてその弟が荒木の体を借りていた為、様々なところで目撃されたと」
大野さんは淡々と話し、桜井はそれを真剣に聞いている。
「とりあえずだ。荒木は昨日、十時に大家さんに部屋の前にいるところを目撃された」
大野さんはアイスコーヒーを飲みながら俺の目を見た。
「はい。 けど、顔は見てないって」
「だが、お前の部屋の前にいたという事はお前である可能性が高い。そして十時半頃にえっーと…… 」
大野さんは何かを言いかけて桜井の方を見た。
名前が分からないのだろう。何しろ二人は初対面だ。
「桜井慶太です」
桜井がそう言うと再び目線を俺の方へと向けた。
「桜井に駅前で金髪の女の子と一緒にいるところを目撃されている。これは間違いなく荒木で間違いないよな」
再び桜井に注目が集まる。
「間違いないと思います」
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