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その後はホッとして気が抜けたのか、お酒が進んでしまった。
先輩に話さなくちゃ…という緊張感を抱えて一日中過ごしていたので、緊張の糸が切れてしまったのかもしれない。
「麻衣ちゃん、眠くなってきた?」
「うーん。ちょっと眠い…かも。」
「じゃあ、そろそろお店出ようか。」
腕時計をチラッと見た先輩が、
「ごめん、トイレ行ってくるね。」と言って席を立った。
立ち上がった先輩は、いつのまにかマウンテンパーカーを羽織っている。
「麻衣ちゃんは、ゆっくり支度してて。」
「はーい。」
先輩が障子を閉めて、歩く音が遠ざかっていった。
コートを羽織って、ストールを巻く。
それからショルダーバッグを肩から掛けて、テーブルや座っていた場所をサラッと確認する。
ゴミをまとめて、お皿やグラスを一か所にまとめた。
見た感じでは、忘れ物はなさそう。
でも、ちょっと眠くて心配だから、涼太先輩にも見てもらったほうがいいかな。
そう思いながら個室を出てブーツを履いているところに、ちょうど先輩が戻ってきた。
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