…第4章 麻衣と涼太

44/53
前へ
/191ページ
次へ
「サラッと、忘れ物がないかを見てみたんです…じゃなくて見てみたんだけど、涼太先輩も見てもらえる?」 「分かった、見てみるね。」 涼太先輩が見てくれて、忘れ物はないみたい。 「じゃあ、行こうか。あ、トイレ行くなら待ってるけど、行かなくて大丈夫?」 「あ、寄っておこうかな。」 「分かった。じゃあ待ってるね。」 トイレから出たら、お店の入り口前で待っている涼太先輩が見えた。 入れ違うようにトイレに入ってきた女の子の二人組が、 「入り口のとこにいた人、めっちゃイケメンじゃなかった?」 「トイレ出たら声かけてみる?」 …なんて、涼太先輩のことを噂していた。 ごめんなさい、その人私の彼氏なんです。 心の中で謝った。 入り口にいる涼太先輩のところに向かうと、 「じゃあ、行こうか。」って先輩が暖簾越しに引き戸を開けようとした。 「あ、お会計まだじゃ…」 「さっき済ませておいたから。」 えっ。驚いている私をよそに、 「ご馳走様でした。」ってレジにいた店員さんに声をかけて、涼太先輩は引き戸を開けた。 「あっ、ご馳走様でした。」 私も店員さんに声をかけて、お店の外に出た先輩に続いた。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加