…第4章 麻衣と涼太

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マンションまでの道は、何故か二人とも言葉少なく手を繋いで歩いた。 でも、その静かな時間も不思議と心地いい。 あっというまにマンションのエントランス前にたどり着いた。 繋がれた手が温かくて、心地よくて。 手を離すことが躊躇われてしまう。 「送ってくれて、ありがとう。」 立ち止まって、涼太先輩の顔を見つめる。 先輩の色素の薄い瞳も、私を見つめている。 その表情を、何と表現すればいいのか分からない。 いつも可愛いなぁと言ってくれる時の表情とはまた違っていて。 私を…好きだと思っていてくれる表情、なのかなぁ。 今まで見ていた先輩の笑顔とも違う…初めて見たその表情に、何故かドキドキした。 「駅から…あっという間だったね。」 「そうで…そうだね。」 「あー離れがたいなぁ。」 そう言いながら指を絡めて繋いだままの手をギュッと握った先輩。 「麻衣ちゃんがもしよかったら、ドアの前まで送ってもいい?」 「もちろんです。」 そのまま、マンションの中に入った。
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