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「ありがとう。今度ぜひ。」
先輩は、にっこりと笑ってそう返してくれた。
「麻衣ちゃん、俺、麻衣ちゃんの嫌がることはしないから。さっきも言ったけど、麻衣ちゃんにはそのままでいてほしいんだ。
だから…麻衣ちゃんと俺のペースで、ゆっくり、仲良く、楽しくやっていこう。」
いつも、本当に優しくて。
その優しさは、相手にも気を遣わせない、負担を感じさせない優しさで。
そんな風に気遣いしてしまう涼太先輩が、私にまで気を遣わないように。
私と一緒にいる時くらいは、リラックスしてくれるように。
そんな風に一緒に過ごしていきたい。
「こちらこそ…よろしくね。」
「よろしくね。…じゃあ、そろそろ帰ろうかな。暖かくして寝てね。また連絡するよ。」
そっと離された温かい手でそのまま私の頭をぽんぽんと撫でてから、笑顔でひらひらと手を振って。先輩はエレベーターのほうに向かった。
「送ってくれてありがとう!気をつけて帰ってね!おやすみなさい。」
エレベーターが到着して、乗り込んだ先輩が見えなくなるまで手を振った。
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