…最終章 麻衣

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昨日、蓮太郎と飲みに行く約束をした。 久しぶりに会えるから、昨日約束した時から楽しみにしていた。 …とは言っても、年末なので流石にお互い定時で帰るのは難しい。 本当はご飯を食べるところから合流したいんだけど、仕事の進捗を考えるとまた今日も残業しながらおにぎりコースかも…。 蓮太郎にはそう伝えて、待ち合わせ時間は遅めにしてもらった。 今日の蓮太郎との待ち合わせは20時。 約束の時間に間に合うように、朝から段取りを考えつつ仕事をこなした。 集中していたからか、一日が過ぎるのはあっというまだった。 空腹感を宥めるために定時過ぎにコンビニに行って買ったおにぎりを頬張りつつ、残業を進めた。 朝から頑張ったお陰で、今日終わらせたかったところまでは終わらせることができた。 デスク周りを片付けて、速やかに帰宅の準備。 フロアに残る、まだ残業している人たちに挨拶して、更衣室に向かった。 更衣室のロッカーからポーチを持ち出し、トイレで歯磨きをして、化粧直しをした。 鏡に映る自分は、無邪気なあの頃の私とは違う。 メイクをして、髪を巻き、アクセサリーを着けて。 オシャレは特別な時に頑張るものではなく、 今や「身だしなみ」として生活に定着している。 口紅を塗って、鏡で髪型と顔をチェック。 最後に横顔もチェック。 左側に垂れた髪をかきあげた時に、鏡越しに左手の指輪が目に入った。 指輪は、付き合って3年になる彼氏、涼太からもらったもの。 先月3年目の記念日にプレゼントしてくれた。 涼太には、今日蓮太郎と飲みに行くことは伝えている。 涼太、行ってくるね。 心の中で呟いて、トイレを出た。
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