150人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
何でこうなってるのか理解できなかった。
私の上に覆い被さった蓮太郎は、私の両手を絡め取り頭の上に固定した。
押さえ付けられた両手は、びくともしない。
なんで?どうしたの?
…って言いたいのに、言葉が出ない。
「れ、れんたろう?」
何とか呼んだ声は、掠れていた。
蓮太郎は、何も言わずに私を見下ろしている。
この沈黙が怖い。
どうしよう…何か言わなきゃ。
そう思った時に、蓮太郎が動いた。
蓮太郎の整った顔が、鼻と鼻がぶつかりそうなくらいの近さまで近づいてきた。
蓮太郎から、目が離せない。
ドキドキと、動悸がうるさい。
「麻衣は男を知らなすぎる。」
……え?
「男はな、恋愛感情ない女にもこんなことできるんだぞ。」
そう言いながら、唇を私の耳元に寄せて、フッと息を吹きかけた。
「ひゃあっ。」
変な声が出てしまった。
「こんなことするのも簡単。」
私の両手を押さえつけていた片方の手を外して、その手が私の身体すれすれを辿った。
胸から、ウエストを通って、太ももへ。
触れそうで触れないギリギリなのに、まるで触られているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!