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「バーカ。」
そう言うのと同時に、おでこに衝撃。
「いったぁー!」
どうやら、デコピンをくらったらしい。
私の上からよけた蓮太郎は、
「目、覚めたか。」と、私の手を引っ張って起こした。
「覚めました…。」
「お前、今後男の家に一人で行くの禁止な。」
「はい。」
「男を自分の家に上げるのも禁止。友達何人かでならいいけど、男が何人でも、女は自分だけって状況は避けること。」
「はい。」
「特に酒飲んだ時は、絶対二人きりになるなよ。」
「はい。」
「自分が女だって、男には力で敵わないって自覚しろ。」
「はい。」
「自分から『泊まっていい?』なんて言ったら、ヤッてくださいって言ってるようなもんだからな。絶対言うなよ?」
「はいっ!」
「よし。分かったな。送ってくから、準備しろ。」
「はい。」
どうやら、蓮太郎は危機感のなさすぎる私に警告したらしい。
び、びっくりした。
男の人って、あんなに力が強いんだ。
押さえつけられた手は、ビクともしなかった。
…でも、嫌じゃなかった。
至近距離まで近づいた蓮太郎の目が、
耳元に感じた蓮太郎の吐息が、
大きな手が、私の身体に触れそうで触れなかったのが、
蓮太郎でよかった、なんて。
…蓮太郎には絶対に言えないけど。
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