…第2章 麻衣と涼太

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ラフティングの当日。 寝坊してしまって、慌てて起きた。 前日になかなか寝付けなかったせいだ。 急いで準備していると、スマホの着信音が鳴った。 【家の前に着いたよ】 車を出してくれた吉崎先輩からメッセージが届いた。 【すみません、あと5分で行きます!】 返信しながら準備して、何とか5分以内に家を出た。 マンションのエントランスを出たら、大きなSUV車がマンション前に駐まっていた。 慌てて車に近寄ると、吉崎先輩一人しか乗ってないようだった。 あれ、確か伊藤先輩も一緒だったよね? 私に気づいた吉崎先輩が、助手席に座るように促した。 助手席のドアを開けて、 「おはようございます!お待たせしてごめんなさい!」と挨拶してから、乗り込んだ。 「おはよう。大丈夫だよ。今日は快晴でよかったね。ラフティング日和だ。」 「そうですね。今日は乗せてもらってありがとうございます。よろしくお願いします!…あの、伊藤先輩も一緒でしたよね?」 「ああ、伊藤ね。昨日連絡あって、風邪引いてるみたい。熱が下がらないから、キャンセルになったよ。」 「そうなんだ!風邪、大丈夫かな?来られなくて残念ですね…。」 「伊藤以外は皆参加だよ。じゃあ、俺たちも出発しようか。」 「はい、お願いします!」 吉崎先輩は、車を発車した。 大きなSUV車は、車高が高くて眺めもよかった。 車の外側も内側も綺麗。 きっと、吉崎先輩はまめに洗車とかしてるんだろうなぁ。 「カッコイイ車ですね!」 「ありがとう。俺は早く車が欲しくてね。一人暮らしより、車を買うほうを選んだんだ。だから、まだまだ親のすねかじりで今でも実家暮らしのままなんだけどね。車があるお陰で、行動範囲は広がってるよ。」 「私は地方出身だから必然的に一人暮らしですけど、車を買うのはきっと働いてからになりそう。」 「篠田さんはバイトはしてるの?」 「いえ、まだしてないんです。親に、大学の流れが把握できるようにって、1年間はバイト禁止されちゃって。その代わり、仕送りは結構もらってるので助かってます。」 「ご両親に大事にされてるんだね。」 「一人っ子だから、過保護にされてるだけですよ。来年からバイト始めて、仕送りが減ったら生きていけないかも(笑)」 「まあ、ゆくゆくは就職したら自力で生活できるようにならないといけないよね。俺も車のローンを払い終えたら、一人暮らし始める予定。」
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