…第2章 麻衣と涼太

5/17
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
目的地へのドライブ中、車内の会話は続いていた。 「一人暮らし、楽しいですよ!時々淋しい時もありますけど。」 「淋しくなったらどうしてるの?」 「蓮太郎…あ、長瀬蓮太郎っていう、掛け持ちしてる映画サークルで一緒の友達が、近所に住んでるんですけど。彼に声をかけて、付き合ってもらってます。」 「へえ…その彼と付き合ってるの?」 「違いますよー!彼氏はいないです。蓮太郎は、一番の男友達です。吉崎先輩は、彼女いないんですか?」 「彼女は…いないよ。」 「イケメンで優しくて王子様なのに?」 「うーん。好きだな、って思える相手がいれば付き合いたいけどね。」 「確かに。私も彼氏欲しいんですけど、なかなか出会いがなくて。」 「こういうのって、欲しいなって焦ってるといい出会いがなかったりするんだよね。逆に恋愛に興味が無くて、他のことに夢中になってる時に出会いがあったりして。」 「あああ、焦ってるから彼氏できないのかな?自然にしてないと!(笑)」 そうだね、と笑った吉崎先輩に陽の光が当たって、茶色い髪の毛が透けて見えた。 男の人だけど綺麗だな、って思った。 「そういえば…今日はお待たせしてごめんなさい!寝坊しちゃって。」 「寝坊したんだ。もしかして、楽しみ過ぎて眠れなかった?」 「バレバレですか?恥ずかしいなぁ。着替えや荷物は昨日のうちに用意していたから大丈夫でしたけど、メイクする暇がありませんでした…あと、ご飯も。」 「なんだ、朝ご飯食べてなかったの?じゃあ、どこかコンビニに寄ろうか?ラフティングは体力使うから、何か食べておいたほうがいいよ。」 「ありがとうございます。じゃあ…こっち側の道路にコンビニあったらお願いしますね。」 「うん、じゃあ次にコンビニが見えたら停まるね。」 吉崎先輩の気遣いで、コンビニに寄ってもらっておにぎりを買うことが出来た。 お腹を満たして、やっと落ち着いた気がする。 吉崎先輩もコンビニのコーヒーを飲んで一息ついていたけれど、飲み終わったみたい。 「じゃあ、もう出発しようか。」 「はい、お願いします!」 車は目的地に向けて再び出発した。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!