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目的地へのドライブ中、車内の会話は続いていた。
「一人暮らし、楽しいですよ!時々淋しい時もありますけど。」
「淋しくなったらどうしてるの?」
「蓮太郎…あ、長瀬蓮太郎っていう、掛け持ちしてる映画サークルで一緒の友達が、近所に住んでるんですけど。彼に声をかけて、付き合ってもらってます。」
「へえ…その彼と付き合ってるの?」
「違いますよー!彼氏はいないです。蓮太郎は、一番の男友達です。吉崎先輩は、彼女いないんですか?」
「彼女は…いないよ。」
「イケメンで優しくて王子様なのに?」
「うーん。好きだな、って思える相手がいれば付き合いたいけどね。」
「確かに。私も彼氏欲しいんですけど、なかなか出会いがなくて。」
「こういうのって、欲しいなって焦ってるといい出会いがなかったりするんだよね。逆に恋愛に興味が無くて、他のことに夢中になってる時に出会いがあったりして。」
「あああ、焦ってるから彼氏できないのかな?自然にしてないと!(笑)」
そうだね、と笑った吉崎先輩に陽の光が当たって、茶色い髪の毛が透けて見えた。
男の人だけど綺麗だな、って思った。
「そういえば…今日はお待たせしてごめんなさい!寝坊しちゃって。」
「寝坊したんだ。もしかして、楽しみ過ぎて眠れなかった?」
「バレバレですか?恥ずかしいなぁ。着替えや荷物は昨日のうちに用意していたから大丈夫でしたけど、メイクする暇がありませんでした…あと、ご飯も。」
「なんだ、朝ご飯食べてなかったの?じゃあ、どこかコンビニに寄ろうか?ラフティングは体力使うから、何か食べておいたほうがいいよ。」
「ありがとうございます。じゃあ…こっち側の道路にコンビニあったらお願いしますね。」
「うん、じゃあ次にコンビニが見えたら停まるね。」
吉崎先輩の気遣いで、コンビニに寄ってもらっておにぎりを買うことが出来た。
お腹を満たして、やっと落ち着いた気がする。
吉崎先輩もコンビニのコーヒーを飲んで一息ついていたけれど、飲み終わったみたい。
「じゃあ、もう出発しようか。」
「はい、お願いします!」
車は目的地に向けて再び出発した。
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