…第2章 麻衣と涼太

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吉崎先輩は、やっぱり優しい。 アウトドアサークルは本当にやりたい人たちが集まっているから、王子様目当ての女子はいなかった。 男女問わず、先輩後輩問わず優しい先輩は、やっぱり皆に王子様って呼ばれていたけれど。 吉崎先輩はいつもさりげない優しさで、細かいことにも気づいてくれて、会話も楽しい。 どうしてこんなに素敵な人に彼女がいないのか、不思議なくらい。 蓮太郎といい吉崎先輩といい、「イケメン=彼女がいる」って訳じゃないんだなぁって実感する。 それ自体が、私の勝手なイメージなんだけど。 伊藤先輩の予想外の不在で、吉崎先輩と二人きりのドライブになったけれど。 その時間は、私にとって心地よいものだった。 車は2時間半ほどで目的地に到着した。 集合場所は、ラフティングのサービスを運営している会社の施設。 集合場所には、既に到着している参加者がいた。 彩香先輩と濱野先輩ももう到着していた。 「麻衣!おはよう。」 「彩香先輩、濱野先輩もおはようございます!」 「おはよう。」 「お天気に恵まれてよかったね。今日は初めての進行、頑張ってね!」 「はい、頑張ります!」 「行きの車、吉崎と二人きりになっちゃったんでしょ?大丈夫だった?」 「吉崎先輩優しくて、お話も楽しかったし、あっというまでしたよ。」 「…ならいいけど。」 「あっ、私吉崎先輩のところに行ってきますね。また後で。」 ラフティング担当のメンバーが集まっていたので、慌てて私も向かった。
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