…第2章 麻衣と涼太

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ゴールにゴムボートを乗り上げて、順番にボートから降りた。 「篠田さん、楽しかった?」 吉崎先輩に笑顔で聞かれた。 「はいっ、楽しかったです!もう一回行きたいくらい!」 そう答えた私は、きっと満面の笑みだったと思う。 「よかった、楽しんでくれて。さあ、役割もあと少しだから、もう少し頑張ろうね。」 「はいっ!」 ボートから降りた参加者の皆さんに声をかけて、解散の挨拶をした。 またさっきのバスに乗り込み、集合場所に移動した。 それから、レンタルしたドライスーツを脱いで、ヘルメットや救命胴衣などを取りまとめた。 本当は、この会社のプランにはオプションでランチ&温泉パックもあったんだけど。 早めに帰りたい人もいるだろうし、皆それぞれ行きたい温泉があるだろう…とのことで、全体での申込みは見送っていた。 帰る人たちを見送り、会社の人たちに挨拶をして、ようやく任務完了した。 「篠田さん、お疲れさま。」 「吉崎先輩、お疲れさまでした!」 吉崎先輩と話しながらホッと一息ついていたところに、彩香先輩から声をかけられた。 「麻衣、吉崎、お疲れさま!」 「彩香先輩、お疲れさまでした!楽しかったですね。」 「麻衣の絶叫、響いてたね。」 「わー、恥ずかしい!彩香先輩のボートにまで聞こえてたんですね。」 彩香先輩は笑っていた。 「ねえ、この後まっすぐ帰る?私と亮平、ランチして温泉入って帰る予定なんだけど。よかったら、一緒に行かない?」
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