ブライダルショー

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「兄さん。早紀に最後までこのショーを見せて、このイベントを潰そうとしたことへの責任を感じさせてくれ。何も変わらないようだったら、もう庇うのはやめよう。俺は前に進みたいし、兄さんも自分を大切にした方がいい」  びくっと肩を震わせた早紀に、同情の入り混じった表情で一瞥した純也が、分かったと言って志貴に視線を戻す。 「そうだな。もう潮時かもしれない。お前たちに二度と会わないようにするか、一人でお前たちの元に戻るかしっかり考えてみるよ。皆さん、お騒がせしてすみませんでした。また、改めてお詫びに参ります」  一礼して去っていく純也の細い体と、二人を連れてきた責任から鎮痛な表情で謝った慶太が、美麗に再度目礼してドアの外に消えた時、堪えていた猛が雄たけびを上げた。 「くっそ~、あのヒステリー女!俺だってあいつの服をびりびりに引き裂いてやりたいよ。もうステージまで時間が無い。望ちゃん、ちょっとこっちへ来て。あっ、美麗さんも着替えて」 「えっ?私は裏方なんだけど……」 「佐久間さん、案内してやって。それと、悪い。後で殴られてやるから、望ちゃんの胸を見る許可をもらっとく」  美麗と一緒に外に行こうとした志貴が立ち止まり、無残に引き裂かれた望のドレス姿を目に入れる。 「俺の義姉が、迷惑をかけてすまない。今井さんの努力を無駄にして本当に申し訳ない。いい仕事をしてくれることを願ってる」        
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