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耳には美麗の説明に、相づちをうつ佐久間の声が流れこんでくるが、どちらも相手に媚びている口調ではなく、望はほっとすると同時に、自分の卑屈さに唇をかんだ。
「うん、面白そうだな。運命の相手としか辿り着けない山中の社への道か‥‥‥。もう一方は観光ルートで、なだらかな道になっているんだな」
「そうです。この島を一日イベント会場に借りて、なだらかな道の方に社員たちが色々な仕掛けをして、辿り着いたカップルを祝福するというのが、望の企画です。ね?望」
いきなり振られて慌てたが、望の案に佐久間が面白いと興味を示してくれたことが嬉しくて、望は頷きながら心の中で叫んでいた。
やった、認めてもらえた! 本当は佐久間リーダーとカップルになれたら、デートで行きたい場所をと思って、こっそり探したんだけれど‥‥‥。
「恋するカップルは、誰もが特別にみられたい願望があると思います。その気持ちをくすぐって、私達のリゾートウェディングの申し込みに結び付けられたらと思います」
「だが、途中の仕掛けはともかくとして、頂上に辿り着いたカップルを、ただ祝福するだけで、参加者が集まるだろうか? 」
その問いかけに、望は元から考えていたプランに加えて、佐久間に海外挙式を頼んだ雑誌編集者 の鈴木を絡めたアイディアを提案してみる。
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