形だけのカップルってありですか?

32/44
前へ
/237ページ
次へ
 さすがにスカートのウェストに手をかけた時には、脱ぐのをためらったが、猛がトントンとつま先で床を叩いて催促をするので、ビスチェとお揃いのフレアパンツ姿になった。 「恥ずかしがる必要はないから。今、俺は仕事モードで望ちゃんは単なるモデルにすぎない。医者に診察される時に、脱いだり触診されるのに、恥ずかしさは感じないだろ?それと同じだと思って」  そうは言われても、猛の視線は仕事だと割り切れても、望はもう一つの視線が気になって、思わず志貴の顔に目をやってしまう。ばちっと視線が合い、望は志貴の視線の熱さに焼かれそうになった。    志貴の視線が望の顔から、首、胸とだんだん降りていく。  心臓が高鳴って、望は頬に熱を持つのが分かって、思わず俯いて志貴の視線から逃れ、気持ちを落ち着けようとした。 「望ちゃん両腕を水平に上げて。佐久間さん、望ちゃんが真っすぐ立てるように後ろで腕を支えてやってくれ」  志貴は頷いて、望の後ろに立ち、望の二の腕を下から包み込んだ。志貴の掌が熱くて、望はびくりとしたが、顔には出さずに呼吸を平静に保とうとする。  だが、背中が大きくあいたインナーでは、少し離れた志貴の体温すら伝わってきて落ち着かない。  突然、うわっと志貴が叫び、望の腕が強く引っ張られた。望はバランスを崩して後ろへと倒れ、志貴に抱き込まれる。 「何をするんだ!この変態野郎!」     
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1628人が本棚に入れています
本棚に追加