デザイナーズドレス

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「今、4時半か……夕食には早いけど、少しお腹が減らないか?」 「そう言われると、急にお腹が減ってきたような・・・」 「実家からブルーベリーを送ってきたから、減らすのを手伝ってくれるとありがたい」 「ブルーベリー結構好きなんです。ヨーグルトにも入れるし、紅茶にも入れたりします。紅茶が真っ黒になって、まずそうになりますけど」    志貴が笑いながら、クラッカーに軽いクリームチーズを載ると、これも実家から送られてきたと見せながら、ホテル用の小さなジャムの瓶を3種類開けて、チーズクリームの上に垂らす。トッピングはブルーベリーで、その間に蒸らしてあった紅茶を志貴がティーカップに注いで、トレーの上に載せた 「志貴さん、すごい。私より手際がいいかも・・」 「実家が旅館とホテルを経営しているからね。お客さんがいない時を見計らって厨房に行くと、新人が新人研修で手順を教えられていたから、側で見ていて自然に覚えたんだ」 「ああ、だから教えるのも上手いんですね」  志貴はリビングテーブルの上に皿やカップを並べていた手を止めて、望の顔を見てにんまりと笑う。  胸の中で何かが弾けて一気に膨張し、望は空腹を感じるどころではなくなった。 
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