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いつ到達するのだろうと構えていたにも関わらず、志貴の指が胸のすぐ横にある掌を支点にして、下の方を探ったと思うと、今度は少し上の方を何かを確かめるように押してくる。
どうしたんだろうと志貴の顔を見上げると、志貴が思い当たったように、ああ、と頷いた。
「ビスチェを下に着ているんだったな。どうりで硬く締まっているはずだ。望…見せて」
いきなり言われたことに頭がついていかず、望は目を白黒させる。
「えっ!?でも、……ここは明るいです」
「アトリエの方が明るかったろ?俺は望の後ろで支えていたから、正面からは殆ど見ていないんだ。望は計測ならあいつに見せても、触れさせても平気だって言ったのに、俺には見せてくれないの?」
「そんな言い方、ずるいです」
いつもの志貴なら、困った顔を見れば、気を回して手を差し伸べてくれるはずなのに、今の志貴はとても意地悪だ。
ファッションデザイナーとしてしか思っていない相手に、仕事だから仕方なく測らせたのと、男として意識している志貴の前で肌を晒すのでは、全然意味が違うのに……
「望は俺に抱かれるのが嫌か?」
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