1629人が本棚に入れています
本棚に追加
佐久間の隣で白と赤のラインが入った紺のセーターでトラッド風に決めた村上が、バス乗り換えの話を終えて、ふと望と美麗を見比べていらぬ感想をもらした。
「山岸さんはパステルカラーコーデで、マカロンみたいにかわいいですね。それに比べると、和倉は制服もパンツスーツを選んで着ているし、普段とあんまり変わらないんだな~。僕の弟って感じで親近感わくよ」
ほとんど望と背が変わらない村上が、望のショートカットのヘアーをくしゃくしゃとなで回すので、望はその手をぱしっと叩き落とし、むっと口を尖らせた。
「村上さんの弟なんてごめんですよ~。ずっと兄貴をなぐさめてないといけないじゃないですか」
「おっ、厳しい弟だな。少しは年上を敬えよ」
望と村上のやり取りに、美麗と佐久間が声をあげて笑った。
やった、佐久間リーダーの笑顔頂きました!と望は嬉しくなって、つい浮かんでくるにやにや笑いを隠すために、くるりと背をむけて島への渡し橋へと歩き出した。
オフショルダーのトレーナーからのぞくボーダー柄のTシャツが、いかにもボーイッシュで望らしいが、スキニージーンズにスニーカーのボトムは、普段ゆとりのあるパンツスーツに隠された位置が高くて形の良いヒップを無防備に晒していて、男性二人は注視してから思わず視線を泳がせた。
最初のコメントを投稿しよう!