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恋人ができると女性は綺麗になると聞いたことがある。
よく漫画などでも、恋人に愛されると、お肌がつやつやにてかっている絵があるが、果たして自分は変わったのだろうかと、朝洗顔を終えた望は、鏡に映った顔を、じ~っと観察してみた。
見る限りでは何も変わっていないと自分では思うけれど、気を付けていないと、顔が赤らんだり、にやけたりして不気味かもしれない。
朝食の席についても、秘密を抱えてしまった疚しさからか、家族との会話もそこそこに席を立ち、そそくさと出勤の支度を済ませて家を出た。
彼ができたよって、せめて母にでも話せればいいのに、できない理由がある。
美麗と望は幼馴染で、本人たちが仲が良いだけでなく、家族ぐるみのつきあいをしているため、今、望が受かれて話せば、家族を通して必ず美麗の耳に入る。
志貴と抱き合っていた時は幸せだったが、一人になると、望は美麗の辛そうな顔を思い出して切なくなった。片思いの苦しさは望自身が一番よくわかっているから…。
例え、過去に両想いになれたかもしれない恋を、美麗に邪魔さたのだとしても、望は美麗を責める気にはなれなかった。
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