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本当に自分を好きになってくれた男性なら、親友が誘惑したからと言って簡単に乗り換えることはしないと思う。
美麗は自分をリトマス試験紙にして、相手が誠実な男かどうかを試したのかもしれない。
だから美麗は、望を好きになったという男性たちのことを、浮気症で、根性無しのどうしようもない奴ばかりだったと詰ったのだろう。
アトリエを去る時、美麗は側にいられるだけで良かったのにと泣いた。
望の中に小さな頃からの思い出が沸き起こって一気に頭を駆け巡った時、一体美麗は、どのくらいの長い期間を耐え忍んでいたのだろうと考えてしまい、涙がこみあげてきた。
それでも、自分の気持ちが向かうのは志貴であって、美麗の気持ちに応えてあげることはできない。きっと永久に・・・。
一番の友達だと思っていただけに、望が受けたショックは大きく、これからどう付き合っていけばいいのかと考えるだけで、松葉づえをつく脚が余計に重く感じられる。
考えたって答えなんか出るはずもなく、まずは会社での美麗の出方を見てみようと決心すると、望は会社のあるビルの中へと入っていった。
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