デザイナーズドレス

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 階下でシャッターが下りる音が響き、猛はドレスから時計に目をやると、もう20時になっていた。すぐに外階段に足音が響き、店を任せている店長の青木央也がアトリエの入口から入ってくる気配がする。猛は作業室からアトリエの広い工房室へと移動して、鍵と売上金、レシートを受け取ろうとすると、青木の背後に思わぬ顔を発見した。 「望ちゃん。驚いたよ。ああ、松葉づえ無しで歩けるようになったんだね」 「急にお邪魔してすみません。お願いごとがあって来ました」 「中に入って、ちょっと待っていて。店長と仕事の話を終わらせるから」  猛が今日の売り上げを聞き、新作の売れ行きなどを確認した後、青木を労って帰すと、望はカウンターの片隅で、猛がドレスの勉強のために揃えた雑誌や資料に目を通していた。  開いたページに目をやると、望には絶対に似合わないだろうひらひらのお姫様ドレスを真剣に見ている。  女はみんなこんなドレスに憧れるのかと猛はおかしくなった。 「残念だが、それは望ちゃんには似合わないと思う」  いつの間にか猛が側にいることに驚いて、望が慌てて椅子から立ち上がって、猛の方に向きなおり、頭を下げる。
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