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「えっ?・・・お・お金を払います。私の貯金から・・・」
「要らない。俺は受け取る気はなかったが、美麗さんが昨日来て、強引に小切手を置いて行った」
「美麗が? なぜ?」
思いもよらないことを耳にして、望は逸らしていた顔を猛に戻したが、あまりにも近くに寄せられていたのに驚いて慌てて仰け反った。
「あんたたちは、幼馴染なんだってな。だから考えることが同じなのか、美麗さんもあんたに最高のドレスを作ってやって欲しいと、材料費の足しにするよう小切手を持ってきたんだ」
聞いているうちに、望の目に涙が溢れ、目の前の猛の顔がぼやけていく。
「美麗はいつも自分を犠牲にして、私のことを思ってくれるのに、私は本当の気持ちに気付くこともできなかった。だから、ショーの間だけでも、綺麗なドレスを着た美麗に陽を当ててあげたいの」
「ランウェイを仲良く手を繋いで歩く気か?だが、あんたが俺の作るウェディングドレスを着るとしたら、相手は誰を想像して着る?美麗さんか?それともあのいけ好かない野郎の為にか?」
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