縁結びの島

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 結実島は直径3、4㎞ほどの小さな島で、山頂まで徒歩約1時間弱の小高い山があり、その山頂に恋愛成就、縁結びの神社、結実神社があることで有名だった。  この島は最初は本土と地続きだったのが、海底の変動や地震などで本土から切り離されたらしく、今は50mほどの橋で繋がっていた。  橋を渡った先に案内小屋があり、望たちの姿をみとめたのか、中から浅黄色の袴をつけた30前後の若い男が出てきて、橋を渡ってみんなを出迎えた。 「急に人数を増やして申し訳ありません。電話で見学をお願いしました和倉望と申します。お忙しい中お手数をおかけしますが、宜しくお願い致します」  望とともに、あと3名が自己紹介をして頭を下げると、日本人形のようにつるりとした顔の男は、両手を振って、頭をあげさせ、こちらこそお願いしますと朗らかに笑った。 「初めまして、結実神社の禰宜(ねぎ)の早瀬孝登(たかと)と申します。宮司は父の早瀬徳治が務めさせていただいております。早瀬が二人になりますので、私のことは孝登と気軽にお呼びください」  いや、ちょとそれはと戸惑われるのに慣れているのか、孝登は気にもせず、神社の説明を続けた。
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