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スマホの画面に映った佐久間は、長身に広い肩、切れ長のダークブラウンの瞳が精悍な顔つきを引き立てていて、胸の厚みをぴったりと包んだタキシード姿がさりげない男の色気を放っていた。
うわ~~~っ、かっこよすぎる!写した写真に悶絶しそうになるのを堪え、望は2種類の衣装を着た佐久間を写した。
「あの…この写真を私のスマホにも転送していいですか?」
「えっ?」
「いや、あの、その、タキシードの写真だけだとお客様が選びにくいので、着用姿をサンプルにさせて頂けたらと……」
「ああ、いいよ。相変わらず和倉は仕事熱心だな」
何の疑いもせずに、佐久間が望とアドレス交換をして写真を送ってくれたので、望は心の中でお宝写真ゲットと叫んで小躍りしたい気分になった。
「和倉、写真を撮ってくれてありがとうな。そうだ、昼食は早番か?」
「望、遅くなってごめん。ランチ行こ!」
突然、佐久間の話を遮るように、美麗が無邪気に微笑んで望の横に立った。
思わず美麗の顔を見た拍子に、佐久間が「じゃあ、お先に」と出口に向かって歩いて行き、望があっと思った時には、その長い脚は開いた扉から街道へと踏み出していた。
ひょっとしてランチに誘われたのかな?一緒に食べるのは緊張し過ぎて無理かもしれないけれど、誘われてみたかったなとがっくり肩を落とした望は、美麗の探るような目つきに気が付かなかった。
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