1629人が本棚に入れています
本棚に追加
望と美麗が向かったのは、大通りから少し入ったところにある個人宅を改造したイタリアンレストランで、昼時ということもあり結構混雑していた。
その日は、4月下旬にしては、気温が低かっったが、空席がないということで、店内から庭に向かって設えたウッドデッキに並ぶ正方形のテーブルに案内された。
「美麗、足寒くない?私はパンツスーツだからいいけれど、今日はストッキングじゃ寒そう」
「慣れてるから平気。望はランチA、Bどっちにする?ドリンクは?」
ちょうど水を持ってきたウェイトレスに、望はチキンソテーのAランチとホット、美麗が魚のムニエルのBランチとレモンティーを頼んだ時、レストラン内から2人の男性が出てきて、望たちに声をかけた。
「和倉、山岸、お前たちもここに来たのか。良かったら中で同席しないか?」
その声を聴いた途端に望の背中がピンと伸びた。振り向かなくても分かる。同席して食べるなんてとんでもないと望が断ろうとしたが、それより早く、美麗が答えてしまった。
「あ、佐久間リーダー! 村上さんも、お疲れ様です。こっちのテーブルの方が広くて、周囲のざわつきもないし気持ちいいですよ。こちらに移ってらっしゃいませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!