それは最悪のタイミングでありまして。

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「教室で待ってるわ。」 よくある話。よくある友達の会話だ。 「ちょっと遅くなるかもしれないから、帰っててもいいよ。」 誰が帰るかよ。 「待ってる。」 「いいから。遅くな…」 「待ってるから!」 つい、俺、なんでこんな… 「川原、どうしたの?」 誰も待ってない。お前しか待ってないから。 「いや、別に。」 この言葉には収まらないくらいの気持ちを、俺はお前に届けられるのだろうか。 「待って。すぐ終わらせて来るから。まじで待ってて。」 「あ、いやその。」 「先生!ちょっとあのさっきのは…」 そう言って、川原はすぐに教室を出て廊下に吸い込まれていくように飛び出して行った。 そんなつもりじゃ、俺は別に、そんなつもりじゃなかったのに。
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