1人が本棚に入れています
本棚に追加
「川原、あ、川原って呼んでいい?ごめんな、いつもこっちでは呼び捨てで呼んでるんだ。」
こっち、とは?
「あ、別にいいよ、何でも。」
「俺も呼び捨てでいいよ。新藤でいいよ。」
「うん、じゃあそうする。」
放課後の教室に、夕日の光がそっと差し込む。オレンジ色が二人の髪の毛を茶色に染める。
「眩しいな。」
「そうだな。」
少しだけ、新藤がこっちを見る。
俺も、新藤を見る。
「何。」
「いや、何でも。」
「言えよ。」
「いいって。ただ目が合っただけだから。」
新藤が少し体勢を変えて、こちらを凝視する。
凝視というのは大げさかな。きっとこいつは、ただ俺を見てるだけ。視界に俺が入っているだけ。
「やっぱかっこいいよな、川原。」
「は?」
「いやあ、夕日に照らされて?とかじゃないと思うけど、やっぱかっこいい。」
「普通だろ。」
「髪の毛染めねえの?そういえば、サッカー部のやつらって結構黒髪多いよな。」
勉強を捗らせるためだけの運動みたいなものだからね、部活は。
最初のコメントを投稿しよう!