それは絶妙なタイミングでありまして。

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新藤と初めて話をしてから三週間が経った。 3週間という時間は、高校生の俺達にとっては半年の月日のように感じ、一分一秒がとても濃厚なものに思えた。 それに、あるきっかけで急に俺と新藤は話す機会が増えたのだ。 それをきっかけとして、俺は昨日新藤の家で勉強を教えることになったのだ。 何でもない、普通の高校生が、最近仲良くなった男友達と、勉強会という名の遊びをするだけだ。 何も珍しいことではないのだ、何も。 「そうなんだ。何か体調悪いのかなと思って。」 良かった。体調のことを気にしてると思ってくれたのか。優しいやつだ。 「体調?何で。」 「川原昨日帰ったでしょ?いつの間にかいなかったし。あれ?あの時間終電ないんじゃね?」 「え?あ、ちょっとコンビニ行きたくて。」 「コンビニって歩いても2時間くらいかかんねえ?」 「あ、うん。でも買いたい物あって。」 俺はあまり嘘をつくのが上手くない。なるべく目線を新藤と合わせないようにした。 嘘が、そのうちあの事実が、新藤に気づかれてるかもしれない。 いや、違う。 おそらく新藤は、自分が仮眠から目覚めて俺の姿がなかったことに疑問点を感じているだけだ。 きっとそれだけなんだ。
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