それは絶妙なタイミングでありまして。

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「川原ってさ、嘘つくの下手だよね。」 新藤は少し目線を窓にやってから俺にその言葉をふわっと投げかけた。 いや、これはぐさっとの間違いか。 それとも、やっぱりあれがばれたのか。 「何で。」 俺は初めてしっかりと新藤の目を見た。 嘘をつく人は目線が泳ぐと聞いたことがある。俺はそれを回避する為にあえて新藤の目をしっかりと見たのだ。 「いつもと違う、色々と。」 「同じだよ、別に。」 「川原ってさ、あんまりコンビニ行かないじゃん。」 「そうだっけ?」 「そうだよ。いっつも俺について行くだけだし。」 「そうか。」 「そうだよ。」 今日は太陽がいつもより自分の視界に入ってきているような気がした。 あんまり俺を照らさないでくれ。 今でも十分暑いのに、このままじゃ俺の頬が、その熱で赤くなってしまうじゃないか。
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