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メジャーな転生方法では、トラックに轢かれそうな幼い子供を助けるために命がけで子供を助ける必要があるようだ。しかし、ただ子供を助けてトラックに轢かれても、無事美少女に転生出来るか分からない。もしかしたらその辺の、単にやたらと強いだけの勇者とか、無敵スキル満載のスライムとか、そういった面白みのない異世界転生をする事になるかもしれない。例えば酒場の踊り子とかならまだ私としては許容できる。でも、せっかく転生するなら、やはり混じりっけ無しの純粋美少女が良かった。美少女になりたかった。
また異世界の世界観によっては、美少女に転職する事も出来る神殿が存在する異世界もあるらしい。しかし転生先を選ぶという方法自体がいまだに確立されてはいないので、そういった転職用の神殿がある世界を自分で選ぶことは、どうも現時点で出来そうになかった。
やはりマイナーでも美少女転生岩にもう一度頼るしかないのかとそうと思い、私はリハビリを兼ねて頭突きの練習を始めてみた。しかし私は頭を強く打ったショックからか、無意識のうちに頭を防御する癖がついてしまっていた。これは怪我をしたスポーツ選手などが良くかかる精神的病気、いわゆる「イップス」という奴だ。この病気のせいで、どんなに努力しても自分から壁に頭をぶつける事が出来なくなってしまっていた。つまり、もう美少女転生岩での転生はできない。それをするためには長く辛いイップスの治療が必要になるだろうし、私がイップスを自力で克服するようなことがあれば、私はいっぱしの汗臭い野球青年みたいになっているかもしれないのだ。それはやはり、私としては非常に不本意な事だった。
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