主人公、死ぬ。

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主人公、死ぬ。

 わたしは名も無いただの男。本当はちゃんとした名前があるが、これから転生してしまう私にはもう意味のないものだ。だからあえて名乗るまい。  ネットで見つけた情報を頼りに、私は『美少女転生岩』というものを捜していた。何でもこの岩で頭をぶつけて死ぬと、異世界で美少女として生まれ変わって幸せに暮らすことが出来るという。そして私はついに大分県のとある山中に、その『美少女転生岩』を見つけだすことに成功した。 「やった、やっと見つけたぞ。これが噂の美少女転生岩か・・・・・・」  目の前に半分山に埋まった巨大な岩がある。それは人の立ち入りを拒む、修験道だけが知る秘密の岩山の中腹にあった。  私はその荒々しい岩肌を手を触れてみた。奧から地球のマグマのエネルギーがゴボゴボとみなぎっているのを感じられるような気がした。指を滑らせて岩肌のボコボコを確かめていくと、所々に茶色い転々とした染みがあるのを見つけた。きっと先人たちが転生していくために頭をぶつけて血を流した、あるいは飛び散らせた脳症の後に違いない。  私はそばで箒を動かして掃除していた若い坊主に話しかけたみた。     
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