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自分が崖を転がって落ちていることにやっと気がついた。
「ぬわぁぁぁ、こ、こんなことがー」
ゴロゴロゴロ
ゴロゴロゴロ
ゴロゴロゴロ
ゴボッ
なんだか硬いものが潰れる聞き慣れない音がして、ようやく私の転落は止まった。目を開けると目の前が真っ赤に染まっていた。
「ザァァァマァ見やがれー」という、クソ坊主の声が遠くから聞こえた。
「うっ痛い」
私は頭を押さえて立ち上がろうとした。しかし本来頭があるはずの所に、もう私の頭はなかった。それよりも少し低くなったところでようやく指が頭の表面に触れた。私の頭は凹んでいるようだ。これでは死ぬかもしれない。早く崖を登って『美少女転生岩』のところに戻らなければ。手に持ったままのメイド服を握りしめ、立ち上がろうとした足は痺れて全く力が入らなかった。這ってでも、とにかく上へ・・・・・・。
「ううう、こんな、こんなところで、死ぬわけには、いかない・・・・・・」
ふらつく頭を持ち上げて正面に目を向けると、血塗られた岩の突起と、その横の木板に書かれた表札の文字が視界に入った。
『ビチグソ転生岩』
「し、しまったぁ!」
そこで私の意識は途切れた。
私は死んだのだ。
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