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「朱美ってさ、いつも褒めてくれるよね。あんまり他の人褒めないのに。」
え?
「あんまり褒めてるとこ見たことない。むしろ厳しいっていうか。」
「そうだっけ?」
「そうだよ。この前さ理子がメイク変えた時も酷評してたじゃん。」
「そうだっけ?」
「理子って結構神経質だからさ、あの後自分の顔食い入るように見ててちょっと面白かったよ。」
「面白かったの?」
「必死に可愛くなろうとしてるのって可愛くない?」
「そ。」
「理子ってほんと可愛いよね。」
「うん。」
瞳は、理子を可愛いと思っている。
「理子って確か彼氏いないんだよね。」
「そうだね。」
「あんなに可愛いのにね。」
「そうだね。」
瞳の方が可愛いよ。間違いなくね。
「朱美も可愛いのに彼氏できないよね。なんで?」
「え?」
「私の友達みんな可愛いのに彼氏いないって、うちのクラスの男子ってなんなの?って感じなんだけど。」
「そ、そうかな。」
「可愛いじゃん。普通に朱美のこと好きな男子知ってるけど。」
「え?そ、そうなの?」
「うん。今も見てるよ、朱美のこと。」
「え?ど…」
瞳に集中させていた視線を逸らそうとしたその時、私の目線の全部に瞳が入ってきた。
私の動きを止めた。瞳がそれを止めた。
瞳がそれを、止めてしまった。
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