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「高森さん、松木様から三番にお電話です」
「ありがとう」
女子社員に返事をし、僕は受話器を上げた。
大手と呼ばれる不動産会社に入社して、六年が経った。
個人のお客様の住宅仲介扱う部署の営業として配属され、元来の人見知りしない社交的な性格が功を奏し、それなりの成績をあげている。
昔モデルの真似事をしていたらしい美しい母親譲りの甘い容姿も、それに拍車をかけてくれているのだろう。
お陰で上からの覚えが良く、同期の中では出世に一番近いと言われているし、女子社員からも熱い視線を常に送られている。
プライベートも順調だ。
一年前から付き合っている恋人の理香は、五つ下で甘え上手。顔も可愛い。
結婚願望の強い理香から最近結婚の話をよく出されていて、もう28だし、まぁそれもいいかなぁなんて考えていた。
僕は公私ともに、充実した日々を送っていた。
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