白玉団子な彼女

2/22
138人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
高森(たかもり)さん、松木様から三番にお電話です」 「ありがとう」 女子社員に返事をし、僕は受話器を上げた。 大手と呼ばれる不動産会社に入社して、六年が経った。 個人のお客様の住宅仲介扱う部署の営業として配属され、元来の人見知りしない社交的な性格が功を奏し、それなりの成績をあげている。 昔モデルの真似事をしていたらしい美しい母親譲りの甘い容姿も、それに拍車をかけてくれているのだろう。 お陰で上からの覚えが良く、同期の中では出世に一番近いと言われているし、女子社員からも熱い視線を常に送られている。 プライベートも順調だ。 一年前から付き合っている恋人の理香は、五つ下で甘え上手。顔も可愛い。 結婚願望の強い理香から最近結婚の話をよく出されていて、もう28だし、まぁそれもいいかなぁなんて考えていた。 僕は公私ともに、充実した日々を送っていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!