悪路を鷹は行く

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雨のせいで泉の水が濁っているかと思ったが、何故か晴れの日のように透き通っている。不思議でしかないが、悪い何かは感じない。ならば、まず口を濯ごうか。そう思い、青年は一度完全に胃を空にするために、己の喉まで指を突っ込む。しかし溝内を蹴られた際に、殆ど吐いてしまったのか吐き気が込み上げても殆ど吐くものが無かった。そして泉の水を手で掬い、何度も口を濯ぐ。5度も濯げばようやく口の中気持ち悪さが大分取れた気がした。青年は口を清め終えると……己の秘所に躊躇無く指を突っ込んだ。 「……………」 気持ち悪い。気づかない内に、内部に傷が付いてしまったのか太腿を伝う白濁に赤い物が混じっている。もう声を出すなどおぞましくて、反対の指を噛み締めた。前回がまだ児戯と呼べるのではないかと思うほど、掻き出してもきりがない。そんなおぞましさに必死に指を入れて掻き出していくと白濁は流れ出すが雨が地に零れたものをあっという間に流していく。全て掻き出し終えた頃には口の中が指から流れた血で鉄臭かった。指を見ればくっきりと歯形が残っている。それだけ自分はこんな惨めな行為に身体的な快楽を感じたのか。穢らわしい。青年は苦しそうに顔を歪める。
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