人と人外の在り方

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「いつも時雨の髪を乾かしている騰蛇ならば、一瞬で服ぐらい乾かせるだろうが私ではそうはいかない。騰蛇が来るまでの間、時雨の浴衣を貸すからそれを着てくれ」 奥の西の方まで来ると、政暁は部屋に通された。部屋の中に入ると、薬っぽい匂いがする。部屋の中をぐるりと見回せば、薬棚やら何やらが部屋中に散らばっていた。桔梗は、畳の上に風呂敷ぐらいの大きさの布を敷くと、その上に影縄を寝かせる。 「なら着替えを取って来るから待っててくれ」 桔梗はそう言い残すと、部屋を出ていった。 「散らかっているな………」 こんなに部屋が汚いと、道具を使う際探すことに難儀するのではないか?そう思いながら政暁は道具を散らばっていた道具を少し整理して座れるだけの空間を作ると、どかっと胡座を掻いた。 「なあ、影縄。あいつは何者なんだ?」 蛇の姿に戻っている影縄は鎌首を政暁の方にもたげた。 「秋也様の式神にして、鬼祓いの医者としての役割をこなしている化け狐です。と言っても、秋也様の代から式神となった私と違い、鬼祓いの組織が作られた当初から居るので騰蛇と同じ式神としては古参です」 化け狐………。確か、騰蛇が以前言っていたような………。 「時雨が幼い頃抱き枕代わりにしていた狐か?」 「そうです!よく御存知ですね。誰かから訊きましたか?」
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