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食器棚は父親と母親、自分の茶碗が重ねてある。
たくさん食べる父親の茶碗は小さく、沙織のは普通くらい。母親のものは小さい。
マグカップは、洗いやすいものから順に並べられている。
箸は引き出しを引かないとわからないが同じ向きに並べられていた。
洗濯物はまだ畳んでいないものと、もう畳んだもので分けられ、人の通らない場所に置かれている。
洗面所に行けば、色違いの歯ブラシが。
お風呂場にはそれぞれお気に入りのシャンプーが置かれていたはずだ。
それぞれの家は、それぞれ使いやすいように家族の手でデザインされているのかもしれない。
沙織は気が遠くなるほどたくさんの家のことに想いを馳せた。
沙織は食器棚にもう一度向かうと、残っていた父親の水筒も取り出した。
父親の水筒も洗い、食器乾燥機に置いておく。
「よし」
なんだか晴れやかな気分だった。
沙織は水筒と弁当が鞄に入っていることを確認して、学校へ向かった。
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