1 海へ行こう

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温泉から部屋に戻って来て、俺とシキミは壁に立て掛けた剣を前に、正座していた。 「それで、シキミは今回の事で、カバネさんの事ちゃんと諦めて整理出来たんだろうな?」 そう言うヤシンの声は、いつもの何倍も低く、かなり恐ろしい。 「すまなかった。でもどうしても1度だけバネさんの全てに触れたかったんだ。これで本当に諦める。だって俺、変だけど、お前ら2人セットも好きなんだよ…」 シキミは自分の複雑な気持ちに、少しイラついたような、困ったような感じで、頭を掻きむしった。 「…お前の気持ち知ってて、カバネさんの側に置いた僕にも責任あるけど。2度はない」 「って、俺まだお前らの側に居ていいの?」 「…だってほら、カバネさんが許してるし?俺がされたのがいけないって言おうとしてるし?」 当たり前だけど、ヤシンの声はとても不服そうだ。 「ヤシン、ごめん!俺がしっかり抵抗出来なかったから、だからシキミばかり責めないでくれ。俺が、俺の体が、ヤシン以外にも反応してしまうこんな体だから…俺がこんなに淫乱になってしまったから…」 俺は目に涙を溜めながら訴えたのだけど… 「プッ……カバネさんの口から、まさか淫乱なんて出てくるとは」 小さく吹き出して、ヤシンは笑いを堪えるように呟いた。 「ヤシン?!」 「カバネさんの体を淫乱に変えちゃったのは、ほかでもない僕ですからね…。だけど、カバネさんには再会した時に、しっかりとお仕置きしますからね?それこそ、淫乱になってもらいますよ?」 俺は、涙も引っ込んで、恐ろしさで体を震わせた。ヤシンのお仕置きは、死にたくなるくらい恥ずかしい姿を晒したりさせられる。再会が怖い…。 「シキミ、お前は今まで通り、僕達の友人として、周りを好きにウロウロしてればいい。という事で、僕はカバネさんと2人で話がしたい。いいか?」 「お前、優しいんだか、そうじゃないんだか分からないけど、ありがとうな。じゃ、あとは2人で!」 そう言って、シキミは逃げるように部屋を出て行った。 そして俺は、剣を通じてヤシンと2人きりになった。ううっ、怖い。
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