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温泉から部屋に戻って来て、俺とシキミは壁に立て掛けた剣を前に、正座していた。
「それで、シキミは今回の事で、カバネさんの事ちゃんと諦めて整理出来たんだろうな?」
そう言うヤシンの声は、いつもの何倍も低く、かなり恐ろしい。
「すまなかった。でもどうしても1度だけバネさんの全てに触れたかったんだ。これで本当に諦める。だって俺、変だけど、お前ら2人セットも好きなんだよ…」
シキミは自分の複雑な気持ちに、少しイラついたような、困ったような感じで、頭を掻きむしった。
「…お前の気持ち知ってて、カバネさんの側に置いた僕にも責任あるけど。2度はない」
「って、俺まだお前らの側に居ていいの?」
「…だってほら、カバネさんが許してるし?俺がされたのがいけないって言おうとしてるし?」
当たり前だけど、ヤシンの声はとても不服そうだ。
「ヤシン、ごめん!俺がしっかり抵抗出来なかったから、だからシキミばかり責めないでくれ。俺が、俺の体が、ヤシン以外にも反応してしまうこんな体だから…俺がこんなに淫乱になってしまったから…」
俺は目に涙を溜めながら訴えたのだけど…
「プッ……カバネさんの口から、まさか淫乱なんて出てくるとは」
小さく吹き出して、ヤシンは笑いを堪えるように呟いた。
「ヤシン?!」
「カバネさんの体を淫乱に変えちゃったのは、ほかでもない僕ですからね…。だけど、カバネさんには再会した時に、しっかりとお仕置きしますからね?それこそ、淫乱になってもらいますよ?」
俺は、涙も引っ込んで、恐ろしさで体を震わせた。ヤシンのお仕置きは、死にたくなるくらい恥ずかしい姿を晒したりさせられる。再会が怖い…。
「シキミ、お前は今まで通り、僕達の友人として、周りを好きにウロウロしてればいい。という事で、僕はカバネさんと2人で話がしたい。いいか?」
「お前、優しいんだか、そうじゃないんだか分からないけど、ありがとうな。じゃ、あとは2人で!」
そう言って、シキミは逃げるように部屋を出て行った。
そして俺は、剣を通じてヤシンと2人きりになった。ううっ、怖い。
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