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スーパーへの道すがら、色々と話をした。人見知りの激しい僕からしたら、初対面でこんなに話せるのは珍しい。赤澤さんは話し上手で聞き上手だった。
年齢は僕より二歳年上で大学は同じだった。サークルに誘われたが、生活の為バイトをしたいと話すと知り合いの所をいくつか当たってくれると言ってくれた。初対面でこんなに甘えて良いのだろうか、と思っていると見透かされたように僕の背中をぱしぱし叩いた。
「気にせんでええぞ、おれ世話焼きやねん。それにおれもこっちに引越して来た時は苦労したからなぁ。お隣さんがえらい助けてくれたから、今のおれがあるんや。」
赤澤さんは引越して来た頃の事を思い出しながら大袈裟に首を上下に振る。赤澤さんの部屋はアパートの一階の真ん中。赤澤さんを助けた隣人と言うのは、もう一つある部屋の住人だろうか。尋ねようとした所でスーパーに辿り着いた。共に買い物を済ませるが、赤澤さんは弁当を一つ買っただけで後は僕の買い物に付き合ってくれた。大荷物になった僕の買い物を半分近く赤澤さんが持ってくれる。
やはり甘え過ぎなのでは、と思って申し訳なさそうな顔をしていると再度背をぱしぱしと叩かれた。帰りも色々な話をしながら帰る。大学の事やサークルの話、会話が尽きる事無くアパートへと戻ると、赤澤さんが荷物を僕の部屋の玄関口まで運んでくれたので、丁寧にお礼を言った。
「有難う御座います、助かりました。」
ぺこりっと頭を下げれば、赤澤さんは照れたように手をぶんぶんっと振って"ええんや、ええんや"っと笑っていた。ふっ、と赤澤さんの部屋の向こう。反対側の隣の住人が気になり、赤澤さんに尋ねた。
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