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「やっと見つけた」  近所に唯一ある、小さな公園だった。  砂場と、滑り台と、ブランコしか遊具のない、さびれた公園。ネットやゲームの普及によって、遊ぶ子供がほとんどいなくなってしまったその場所に、咲崎愁(さきざきうれい)は一人でいた。  俯きながら、ゆっくりとブランコに揺られている。 「……っ。探しにきたの?」  俺の声を聞いても、愁はこちらを向いてはくれなかった。  すでに夕方のチャイムは鳴り終わり、夕日も役目を終え地平線へと帰ろうとしている。空は八割ほどが群青色に飲み込まれており、ひと気のないこの公園では、この時間特有の不気味さを漂わせていた。 「探すまでもないよ。妹の行きそうなところくらいすぐにわかる」  兄だからな。なんて、冗談めかしく口にしてみるも、変わらず彼女はこちらを向いてはくれなかった。これは、相当に怒っているかもしれない。 「俺のせいか?」  思い当たる原因は、それしかない。愚直に訪ねてみると、彼女は頬を人差し指で掻きながら短く返した。 「別に関係ないし」  頬を掻く仕草は、小さい頃からの嘘をつくときの癖だ。     
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