第一章『初夏に輝く花』
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大切にしているものほど呆気なく失せるものだ。その様は両手の指間から水が零れ落ちるかの如く。 そして落下していく純水は、砂を孕んだ地へと吸い込まれ、後には黒々とした染みを残していく。実に虚しいことである。 しかし、大切なものを失くすという体験は、誰もが一度は経験していると言っても過言ではないほど身近に潜んでいる。 失くしたものを取り戻すことが出来たらどれ程幸せだろうか。
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