繋がるインクブルー

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 残された暗闇で、壱弥さんは再度足元をふらつかせる。  顔色は蒼白で、今にも倒れそうになる身体を宗田さんが肩で抱え上げた。そして、明るい事務所の入り口で、壁に凭れかけさせるように重い身体を下ろす。 「壱弥さん、死なんとって」 「あほか、大丈夫や……」  私の言葉に少しだけ口角を緩めて笑うものの、体動に伴う痛みにより、彼の額には冷汗が滲んでいた。白いシャツに滲む血液は徐々に広がり、抑える右手を伝って床に滴り落ちる。彼のその姿に、私は動揺を隠しきれなかった。 「救急車、もうすぐ来るからな」  宗田さんの言葉にも青い顔で小さく頷くだけで、徐々に彼の反応が鈍くなっていくのがわかる。 「壱弥さん、聞こえる? 返事して」  私は澱んでいく彼の意識を繋ぎ止めなければと、繰り返し声をかけ続けた。  力なく垂れる彼の左手を握り締めると、大きく骨ばったが指が弱弱しく私の手を握り返した。  しかし、触れた手が氷のように冷たくて、心臓が止まってしまったのではないかと錯覚させる。細胞が死滅していくような恐怖を覚え、私は涙を溢しながら彼の手を強く強く握り締めていた。
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