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D坂一丁目 路上にて②
「そんなに泣きじゃくっていてもね。
もっと分かるように話してくれないと。
友達が急にいなくなった。そうだよね?
不審者・・・怪しいヤツに車に連れこまれたとか。どこかに連れていかれたーーそういうんじゃない、と。
いつものように学校から・・・市内のK市立中学だよね。
いっしょに下校の途中で。
話をしながら、このD坂にさしかかった。
喧嘩をしていたわけじゃない。小学校からずっとその子と親友で。このあたりも数え切れないくらい通っていた。
ああ、今日はちょっと遠回りをしていたのか。それでも、この辺は知らない道でも何でもない。
そうだったよね。
それで・・・。
何かーー怖い話をしていたんだっけ。
で、その途中で友達・・・結衣ちゃんか。突然、姿が見えなくなったと。
最初は結衣ちゃんがふざけていると思ったんだよね。
その辺に隠れて。君を驚かそうとしていると。
よくあるよね。物陰に隠れて大声を出して驚かすってヤツ。
ところが、いつまでたっても出てこない。
というか、この坂の両側は住宅が並んでいてーー隠れる場所なんか、ほとんどない。自動販売機のたぐいも見当たらないくらいだ。
変な言い方だけれど、本格的に姿を消すなら知らない家のーー敷地内に入らなくちゃならない。ん。分かるよ。それはね。
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